ニューヨーク
ニューヨークのディープな文化で「五感」を刺激する4泊5日の大人旅
世界中からの観光客で溢れる大都市だけに、その喧騒に圧倒されてしまいそうなニューヨーク。
でも、だからこそ、この街の食やアートシーンは驚くほど多様で刺激的。
仕事や旅行でこの街に20回以上通っていますが、いつも新しい「発見」があります。
世界の最前線カルチャーと、古き良き“粋”な伝統が絶妙に絡み合うダイナミズムとその奥深い魅力は、まさに誰もが一度は味わってみるべきかもしれません。
ニューヨークの食とアートを組み合わせた大人旅で、五感を刺激する贅沢な時間を過ごしてみませんか? 今回は、ゆっくりとニューヨークを満喫する大人のための極上旅プラン4泊5日を、私のお気に入りのアドレスとともにご紹介したいと思います。
PM 3:00 ザ カーライル ア ローズウッド ホテル
今回宿泊するホテルは、私がニューヨークに来るたびに宿泊している『ザ・カーライル(The Carlyle)』。
このホテルを舞台にした映画『カーライル ニューヨークが愛したホテル』が2019年に日本公開されたこともあり、日本でもご存知の方は多いかもしれません。
アッパーイーストサイドに位置する同ホテルは、1930年創業で、アメリカ・ニューヨークの古き良き伝統の面影を残しており、過去にはダイアナ妃やジョン・F・ケネディなどが定宿にしていたことでも知られています。
メトロポリタン美術館が近いことから、ここに滞在してMET(メット)ガラに向かうセレブも多く、この日はカーライルから出てくるセレブたちのファッションスナップが世に出回ることでも話題になります。
そんなことから、ロビーやエレベーター(創業当時から動き続ける名物エレベーター!)、朝食のレストランなどでハリウッドスターに遭遇!なんてこともよくある日常風景。
また、このホテルが多くの人を惹きつけてやまない理由の一つが、まるで大きな「ファミリー」のようにお客様を迎えてくれること。
何度か宿泊しているうちに、ゲストの名前のイニシャルを刺繍した枕を用意してくれるという習慣があり、部屋に到着して、用意された自分のイニシャル入りの枕を見るたびに「ホームに帰ってきた」という気分にさせてくれます。
PM 5:30 べーメルマンズバー
ニューヨークに来たら、ディナーの前のドリンクに立ち寄っていただきたいが『べーメルマンズバー』。
ザ・カーライルの中にあるバーで、週末は入店を待つ人で長蛇の列になるほどの人気だけれど、ホテルの宿泊者であればすぐに入れてもらえます。
ベーメルマンズバーは、絵本「マドレーヌ」で知られる作家ルドヴィッヒ・ベーメルマンズが描いた壁画がアイコニックで、ウェス・アンダーソン監督の映画『グランド・ブダペストホテル』のインスピレーションにもなっていたそう。
毎日ジャズピアノの演奏があり、曜日によってはエミー賞受賞の作曲家でピアニストのアール・ローズの演奏を間近で聴くことができます。ニューヨークで大人の週末を過ごすなら、ベーメルマンズバーは絶対に欠かせない場所だと言えるでしょう。
PM 7:30 レストラン「ザ・グリル」
この日のディナーは、『ザ・グリル』へ。
モダニズムデザイン、バウバウスの巨匠であるミース・ファン・デル・ローエによってデザインされたシーグラムビルディングに入るレストランで、重厚感あるミッドセンチュリーのインテリアが洗練されたムードを醸し出しています。
ニューヨーカーのあいだでは、パワーランチ(ビジネスランチ)のスポットとしてもビジネスマンたちに多く利用されているそうですが、夜でも、少しお洒落をしてディナーに出かけたいという時にピッタリ。
私がこのお店で必ずいただくのが、鴨のハニーマスタードロースト。濃厚ですが、旨みがギュッと詰まっていて絶品です。
AM 10:00 メトロポリタン美術館
ニューヨークを代表する観光地としても人気の『メトロポリタン美術館』。通称THE MET(メット)と呼ばれ、世界でも最大級の美術品の所蔵を誇っています。
1日ではとても周りきれないほどの展示に圧倒されるほどで、私立美術館でありながらその膨大なコレクションは、アメリカの資産家たちの寄贈や寄付金から集められたものばかりだそう。
なかでも、見応えがあるのがメトロポリタン美術館のパトロンで、夫ともにアートコレクターでもあったジェイン・ライツマンから寄贈されたコレクションの数々。
2019年に亡くなったジェインは、メトロポリタン美術館にプライベートのアートコレクションや8000万ドルを遺贈したと言われています。
また、1階のライツマン・ギャラリーでは18世紀フランスの邸宅のインテリアや家具などの調度品がそっくりそのまま移築されており、フランスのお屋敷に迷い込んだような空間は、美術館の「展示」の域を超えるほど。
その圧巻のコレクションの数々には、莫大な寄贈を惜しまないパトロンと美術館の強い関係性を感じざるを得ません。
他にも、名画『マダム X』などで知られるアメリカの人気画家ジョン・シンガー・サージェントのコレクションもお見逃しなく。
PM 1:00 イタリアン・カフェ「ヴィア・クアドローノ」
米人気ドラマ『SEX AND THE CITY(セックス・アンド・ザ・シティ)』にも登場し、サラ・ジェシカー・パーカーも行きつけだというアッパー・イーストサイドのイタリアン・カフェ「ヴィア・クアドローノ」。
お店は小さいけれど、予約が要らず回転も早いので、地元の人たちに愛されているカフェです。
シンプルながらパニーニがとっても美味しいのが、リピート率の高い理由。気軽に入れるので、いつも私は、軽いランチやコーヒーブレイクでふらりと立ち寄っています。
PM 3:30 インテリアショップ「クレート&バレル」
【本スポットはクローズしている可能性があります】
シンプルで洗練されたデザインで人気のインテリア雑貨ブランド『クレート&バレル』。
アメリカ発の同ブランドは、おしゃれなインテリア家具からキッチン用品、食器などが比較的お求めやすい価格で揃っているので、新居にお引っ越しした方や新生活を始める方などには強い味方。
店舗も広々として大きく、商品のバリエーションもかなり豊富なので、私も、足を運ぶたびに、ついついキッチン用品やインテリア雑貨を購入してしまいます。
PM 7:00 レストラン「エステラ」
私のニューヨークのお気に入りのレストランの一つが、この『エステラ』。アメリカンモダン料理を提供してくれる同店は、ミシュラン1つ星とあって、その美味しさは折り紙つき。
ムーディな薄暗いライティングと活気のある店内が居心地良く、「食」への粋なこだわりを感じさせてくれるレストランです。
私が、ここで必ず注文するメニューが、アロスネグロというスペイン風のイカ墨ピラフ。魚介の旨みがグッと凝縮されたお米が、日本人でもやみつきになるほどの美味!
AM 10:00 カフェ「ラルフズ・コーヒー」
アッパー・イーストサイドのマディソン・アベニューにある『ラルフローレン』の店舗の中に併設されている『ラルフズ・コーヒー』なら、トレンディなニューヨークの朝を楽しめます。
大理石のテーブルや心地の良いレザーのソファがおしゃれな店内で、朝食にはクロワッサンなどのペイストリーも食べることができます。
ジョギング後のオシャレなニューヨーカーがテイクアウトに立ち寄ったり、読書をしながらゆっくりコーヒーを飲むマダムの姿もちらほら。暖かい季節には外のテラス席でもゆっくりできるので、初夏に訪れるのもいいかもしれないですね!
PM 12:00 スペイン食材店「デスパーニャ」
私がソーホーに買い物に出かけるときに、必ず立ち寄るのが『デスパーニャ』。
スペイン専門食材屋さんですが、お店の奥には、絶品タパスやチョリソなどの軽食を取ることができる小さなレストランスペースがあります。
同店は、もともとニューヨークのクイーンズ地区にあるジャクソンハイツでチョリソの生産を行なっていたそう。本格派スペイン食材のお店としてこのソーホーにオープンし、現在では多くの人たちに愛されています。
私のお気に入りメニューは、小さな丸いコロッケのクロケッタセラーノやアンチョビのオープンサンド、ボケロネス・ピンチョス。その他にも様々な種類のサンドイッチがあります。
ボリューミーな食事が多いニューヨークで、軽くランチを済ませたい!とういう方にはおすすめです。
PM 2:00 インテリアショップ「RH」
ミートパッキングディストリクトにある人気インテリア家具ブランドの『RH(リストレーション・ハードウェア)』では、ショールームにルーフトップレストランを併設したラグジュアリーな空間を楽しめます。
RHは、リッツカールトンホテルやフォーシーズンズホテル、ラルフローレンなどにも自社ブランドの家具を納入しており、洗練されたデザインとクオリティの高さが魅力のインテリアショップです。
ショールームを見てまわるだけでも、インテリアのインスピレーションをたくさん得ることができるので、お買い物の予定がなくてもぜひ店内に足を運んでみてください!
PM 4:00 カフェ・サバスキー
私がニューヨークで一番大好きなカフェがこの『カフェ・サバスキー』。
クリムトやエーゴン・シーレ、ベックマンなど20世紀のオーストリアやドイツの美術品、デザイン作品を所蔵・展示しているとても素敵なミュージアム「ノイエギャラリー」に併設されているカフェです。
古き良きオーストリアのカフェ文化を思わせる店内の『カフェ・サバスキー』は、まるでニューヨークの喧騒の中にいるとは思えない異空間。
オーストリアの伝統的なケーキとして有名なザッハトルテやアップルシュトルーデル、またアインシュペナーやメランジュなどのコーヒーからシュニッツェルなどのお食事まで、オーストリア・ドイツ文化で溢れた空間が魅力となっています。
PM 7:30 レストラン「カーサ モノ」
ニューヨークは毎年のように、トレンディで話題のレストランを生み出しているけれど、必ずリピートしてしまう根強いファンを持つお店も多くあります。なかでも、ここ『カーサモノ』は絶対に期待を裏切らない美味しさ。
タラのコロッケ「バカロ・クロケッタ」やレイザークラム、ウニがのった「クリーミーエッグ」など絶品メニューがたくさん。
店内は少し狭く、テーブルもぎゅっと詰められていますが、本格スペイン料理に舌鼓を打っているうちに、世界は自分と美味しいお食事だけの空間になっているはずです!
AM 11:00 ストランドブックストア
本を読むことが大好きな私にとって老舗書店『ストランドブックストア』は、まるで宝箱のような場所。
全長28キロメートルにもおよぶ書籍数があるそうで、新刊本だけでなく古本や希少価値の高い絶版本なども取り揃えてあります。
ビジネス書や文学作品、料理本だけでなく、法律、サイエンス、アート、建築、ファッション、写真、政治、歴史など本当に幅広いジャンルの本がたくさん。あまりにも数が多いので、ついつい長居してしまう本の「沼」と言ってもいい場所です。
可愛いデザインのオリジナルエコバックも販売しているので、お土産にもおすすめです。
PM 12:00 ユニオンスクエアカフェ
ニューヨークの人気レストラン経営者ダニー・メイヤーが初めて手がけたレストランとして知られる『ユニオンスクエアカフェ』。日本にも進出しているのでご存知の方も多いかもしれません。
現在の場所に移転する前にもよく行っていましたが、最近ではランチにこちらのバーガーを食べに行くことが多いです。
ユニオンスクエアカフェのバーガーはバンがこんがりクリスピーな焼き上がりなのが美味しく、食べ応えも十分。
ユニオンスクエアで定期的に開催されるファーマーズマーケットからも近いので、マーケット前後に小腹が空いたら寄ってみるのもいいかもしれません。バーカウンターなら予約がなくてもすぐに通してもらえます。
PM 2:00 MOMA(ニューヨーク近代美術館)
1920年代に、リリー・Pブリス、アビー・オルドリッチ・ロックフェラー。メアリー・クイン・サリバンという三人の女性によって設立された『MOMA(ニューヨーク近代美術館)』。モダンアートに特化した美術館として、100年余りのあいだアートシーンの先陣を切ってきた世界で最もアイコニックな美術館でもあります。
マティスやピカソ、ゴッホはもちろん、ロスコやジャコメッティ、アンリ・ルソー、パウラ・モーダーゾーン=ベーカーなど、モダンアーティスト界の巨匠たちの大作が展示されている贅沢な空間で、見応えも十分。
モダンアートの醍醐味は、作品を通して当時の社会情勢や思想を知ったり、学んだりできることにもあると思います。作品を知ることで、大きな学びを得られるのも楽しいですね!
PM 7:30 レストラン「ラ・グルヌイユ」
フランク・シナトラやミック・ジャガー、ソフィア・コッポラなど、それぞれの時代の「ファッションパワー」と呼ばれた著名人にも愛されてきたという老舗フレンチレストラン『ラ・グルヌイユ』。
お花畑に包まれたような妖艶かつ華やかな空間で、伝統的な本格フレンチを堪能できます。
デザートのスフレは、お味も食感も文句のつけどころがないほどの美味しさで、来店されるほとんどのお客さんがスフレをオーダーしているほど!
AM 10:00 セントラルパーク
毎日忙しいニューヨーカーたちの憩いの場。「心」の、そして「街」の余白として重要な機能を果たしている『セントラルパーク』。春シーズンの桜はもちろん、新緑、紅葉と四季ごとの彩りの変化も楽しめる美しい公園です。
ニューヨーカーたちは、お散歩をしたり、犬を連れたり、ベンチで読書をしたり、ピクニックしたり、ボートを漕いだり、音楽の演奏をしたりと、思い思いの時間をここで過ごしています。
大都会の真ん中にあるとは思えないほどの雄大な自然を感じることができる場所であり、旅の途中の疲れを癒すのにも最高のスポットです。
PM 12:00 レストラン「JGメロン」
ニューヨークで一番美味しいバーガーといえば、絶対ここ!と宣言したい『JGメロン』。グリルで焼き上げたパテが、ジューシーで旨味もたっぷり。
1972年オープンの老舗レストランで、映画「クレーマー、クレーマー」のワンシーンでダスティン・ホフマンとメリル・ストリープが同店で撮影を行ったことが知られているほか、ホイット・スティルマン監督の映画「メトロポリタン」にも登場。
そして、モデルのジジ・ハディッドが人気トーク番組「ザ・トゥナイト・ショー」に出演した際に、「ニューヨークで一番美味しいバーガーが食べられる場所」と明かしています。
『JGメロン』というお店の名前だけに、お店の色もメロンカラーを基調としていて、店内はチェックのテーブルクロス(これまたメロン色)とバーカウンターがレトロアメリカンな雰囲気を醸し出しています。
同店はクレジットカードを受け付けていないので、行く前には現金を用意しておくことがベストです。
PM 2:00 セレクトショップ「ザ・フランキーショップ」
ニューヨーク発のブランドで、現在はニューヨークとパリのみに店舗を構える『ザ・フランキーショップ』。
シンプルながら、オーバーサイズなシルエットとベーシックなカラーがモードっぽ雰囲気を演出できるハンサムなアイテムとして、ファッショニスタたちから注目を集めているブランドです。
日本には進出していないショップなので、ニューヨークにお越しの際にはぜひ立ち寄ってみてください。
PM 3:00 カフェ「サタデイズ・ニューヨークシティ」
最終日のフライト前は、「時間に余裕を持ってゆっくりと過ごしたい」けれど、「最後までニューヨークの街を満喫したい」という思いから、いつも最後はカフェで〆る。という自分なりのルールを決めています。
ソーホーでゆっくり最後までショッピングを楽しみながら、最後はここ『サタデイズ・ニューヨークシティ』に併設されているカフェでコーヒーを一杯。お天気が良ければ、バックヤードもテラス席になっているので、青空を楽しみながら静かな時間を過ごすことができます。
『サタデイズ・ニューヨークシティ』は、ニューヨークをはじめとする大都市に生きる人たちの暮らしに寄り添って、オンとオフのバランスの良いライフスタイルを提案するアパレルブランド。
洗練されたニューヨークの美意識とリラックス感のある遊び心が心地い。そんなブランドコンセプトがカフェ空間にも演出されていて、「ニューヨークらしさ」を最後の最後まで満喫できるのが嬉しいポイントです。
MUSE
- akikoOAPディレクター、文筆家
英国オックスフォードで、カルチャーやアカデミックなプログラムを提供するオックスフォード・アカデミック・プログラムズのディレクターを務めるかたわら、ライターや翻訳家として...
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